溶接

<溶接>

溶接部の品質について解説します。ここで解説するのは,炭素鋼を溶接接合する場合の溶接部の品質です。

溶接のことなら,「一般社団法人日本溶接協会」がHPを出していまして,同協会情報センターが「日本溶接協会規格(WES)」を公表していますから,これを見るのがわかりやすいです。

また,溶接の用語は,JISZ3001で定義されています。

一般社団法人日本溶接協会」のHPを見ればかなり詳しく解説されていますが,私なりにポイントを解説します。

まず,溶接部に課せられる条件として,建築基準法施行令第67条第2項に基づく告示「鉄骨造の継手又は仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1464号)で,溶接部に用いる溶着金属の強度的性能が規定されています。詳しくはこの告示を読んでいただきますが,簡単に言えば,溶接される鋼材に応じてそれと同等以上の降伏点と引張強さを持つ溶接材料としなければいけないことが規定されています。これを「母材同等以上」と言って,溶接部の品質の第一です。

溶接部を作るための溶接棒の日本工業規格を紹介します。

JISZ3183「炭素鋼及び低合金鋼用サブマージアーク溶着金属の品質区分及び試験方法」
JISZ3211「軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用被覆アーク溶接棒」
JISZ3214「耐候性鋼用被覆アーク溶接棒」
JISZ3312「軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ」
JISZ3313「軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ」
JISZ3315「耐候性鋼用炭酸ガスアーク溶接ソリッドワイヤ」
JISZ3320「耐候性鋼用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ」
JISZ3353「軟鋼及び高張力鋼用エレクトロスラグ溶接ソリッドワイヤ並びにフラックス」
JISZ3212「高張力鋼用被覆アーク溶接棒」←2011年7月時点で廃止になっている。

鋼材の溶接に関する日本工業規格は,上記です。これは,建築基準法第37条に基づく指定建築材料の告示で規定されているものですから,これ以外の方法で鋼材を溶接接合することは原則として禁止されています。

溶接で大切なことは,まずは「母材同等(以上)」となる溶接材料を選ぶことです。(建築基準法施行令第67条第2項に基づく告示H12第1464号)

例として,建築構造用圧延鋼材のSN400Bどうしを被覆アーク溶接棒で溶接接合する場合を考えます。「母材同等」の意味は,告示に明確に規定されていて,

① 降伏点または0.2%耐力が規定以上であること
② 引張強さが規定以上であること

の2つの条件を守ることです。

例は,被覆アーク溶接ですから,JISZ3211を守ることになり,母材がSN400Bですから,400N級炭素鋼ですので告示により要求される溶着金属の性能は,

①が235N/mm2以上で,
②が400N/mm2以上となります。

これを満たす溶接棒をJISZ3211で規定されているものから選びます。「E43」を選ぶと,同JISの表1から引張強さが430N/mm2以上であり,表5から降伏点または0.2%耐力が330N/mm2ですから,母材同等の溶着金属を選んだことになります。実は,JISZ3211の溶接棒の「E43」は,最も耐力の小さいものですから,JISZ3211であるかぎりどの溶接棒を選んでも母材同等を満たすことになります。

上記は,SN400Bで被覆アーク溶接の場合の一例でしたが,母材と溶接の組み合わせで選ぶべき溶接棒を一覧表にしました。

溶接の種類 適用されるJIS 母材 母材同等を満たす溶接棒の種類及び記号
被覆アーク溶接 JISZ3211 SN400B E43
SN490B E49
マグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ JISZ3312 SN400B YGW11
SN490B YGW11
アーク溶接フラックス入りワイヤ JISZ3313 SN400B T43
SN490B T49


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<ちょっと解説>

左の中で建築分野で通常使われるのは,青色で表示した3種類です。完全溶け込み溶接は,事実上JSSⅠ03が適用され,そこには,「被覆アーク溶接」「ガスシールドアーク溶接」「セルフシールドアーク溶接」の3種類に限定して規定しています。

 



このページの公開年月日:2013年5月22日

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