下請け契約の留意事項

<下請け契約の留意事項>

1棟の建物を建築するのに10社とか数10社とかの1次下請け・2次下請け契約で行われます。これらの契約が建設業法やその他の法令に適合して行われていなければいけません。


下請け契約の適正化について,国土交通省がHPで呼びかけています。

発注者・受注者間における建設業法遵守ガイドライン」(平成23年8月)

上記には,実にいろんなことが書いてあります。下請け契約だけを意識したものではなく元請け契約についても含まれています。契約書に書くべき事項や,見積もり期間や,工事が終わった後の代金の支払いについても書いてあります。早期に現金化できない長期の手形での支払いを制限するものです。詳しくは上記ガイドラインを見てください。


下請け契約をチェックする中で,よく議論になるのが,「雇用関係のチェック」です。公共工事では「下請負人名簿」を提出するようになっていて,2次請け以下を含むその工事現場に来るすべての下請負人を記載します。この名簿には,配置する主任技術者を書き資格者証や雇用関係がわかる書類をつけることになっています。

主任技術者はその会社の社員であり労働に応じて給料が支払われているはずですが,建設業法上は雇用関係があることが条件とはされていません。ですが,会社が資格者を使って工事内容に責任を持たせる以上,その人に給料を払わないなどあってはいけません。そういう意味で,上記ガイドラインでも「8-2社会保険労働保険(法定福利費)について」という項目で,解説しています。勿論,仕事をしているのに給料を払っていないなんてことはないでしょうから,ガイドラインで言っているのは,雇用していることにともなって,その労働者にしなければいけない社会保険などを実施しているかどうかを問うものです。下請負人名簿の審査でするのは,その主任技術者に対して社会保険がかけられているかどうかです。したがって,下請負人名簿に添付する書類として会社社長名で「雇用証明」として出しても有効ではありません。健康保険証の写しを求めていて,そこに会社名が書いてあることを確認します。ただし,上記ガイドラインでも「8-2社会保険労働保険(法定福利費)について」にも書いてありますが,雇用する社員が4人以下なら健康保険は義務ではありませんから,労働保険で証明することになります。


「雇用関係のチェック」は,建設業界の健全な発展のために欠かせないこととして国も推進していることですから,公共建築においてしなければいけないことなのだと思います。


「雇用関係のチェック」に関して,私の経験や感想をここに書き足します。

下請負人名簿に主任技術者の健康保険証の写しをつけさせることに抵抗感があったり,会社社長名でその人を雇用していると証明してもそれでも駄目だとすることに疑問を感じたり,源泉徴収票を出して給料を支払っていることを示してもそれでも駄目だとすることに疑問を感じたりすることは,もっともなことだと思います。でも,会社が資格者を使っている以上,その人を雇用し法定福利費を負担することは当然の社会のルールで,それをチェックすることは公共工事という使命の中に含まれるんだと思います。とはいえ,なかなか理解してもらえないこともあります。

なかなか理解してもらえない場合,次のような言葉で説得しています。

「資格者として会社が使う以上,給料を払い,社会保険などの法定福利費が負担されていなければいけないんです。給料を払っていないなどとは思いませんが,法定福利費を負担していない会社がこの世の中には意外とたくさんあるらしくて,建設業界全体にとって障害となっているという現状があるので,そうしたことをなくす目的で雇用関係をチェックしています。この現場に来る作業員全員の雇用関係をチェックするのではない。施工の技術面について責任を持つただ一人の資格者について証明を求めているだけなんです。」

そういうことをしてはいますが,雇用関係書類を求める中で別の人に変えるということもありました。おそらく前の人は法定福利費を負担していない人だったんでしょうね。そうしたことが見つかることでその人を正社員として格上げしたのならば意味があったと思いますが,見つかって差し替えたということは格上げされたりはしなかったのだろうと思います。雇用関係のチェックは,建築士の業務として超えていると思いますし,公共工事の発注として考えても,公共工事の下請けにたまたま入った会社の主任技術者のみをチェックするやり方が効果があるとは思えません。

ただ,今後は,主任技術者のチェックに留まるのではなく,現場に来る全作業員の雇用関係のチェックをする方向に発展していくような気がします。


「経営業務管理責任者が主任技術者になることの禁止」

上記「ガイドライン」にはありませんが,公共工事において〈経営業務管理責任者〉が下請けの主任技術者になることを,禁止される場合があります。

私が建設業法を読む限り,法文上で経営業務管理責任者を排除する規定はありません。そもそも経営業務管理責任者という用語すら建設業法上で定義されていません。経営業務管理責任者を排除する根拠は,「勉強中」としておきます。恐らく発注者の発注方針なのだと思います。





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このページの公開年月日:2013年10月19日

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