<朱鷺メッセ崩落事故の原因が突き止められなかったことが残念(その3)>

裁判の過程で,通常は原因が解明されるはずです。どのように進められたのでしょうか。

一審で県側は,調査報告書を根拠として設計が不適切だったことを主張しましたが,裁判所は「報告書の論証過程には大きな疑問が残ると言わざるを得ない」と指摘し,県側が主張する事故原因を立証できないとしました。

二審では,県は「設計・施工の技術的側面で争うよりも,そもそもの契約責任としての債務不履行責任等の法的責任を問う」と訴訟方針を変更して争っています。高等裁判所が出した結論は,和解勧告であり「事故は設計上の問題によって発生した」とした上で,和解金として設計者・施工者に8000万円の支払いを求めて和解が成立しました。

この結果,「事故は設計上の問題によって発生した」とはいうものの,詳細の原因は特定されずに終わっています。本来,設計が原因であると特定できたならば,その損害の責任のすべてを設計者が負うべきところですけど,和解金は県が一審で請求した額の約10分の1でした。

裁判の場で,原因を究明することができればよかったのですが,残念な結果です。一審がはじまる前に崩落せずに残った部材で引張試験をすることで斜材ロッド接合部の耐力不足が原因ではないことが特定できていたにも関わらず,原因を修正するなり再調査をするなりしなかった県の対応に疑問を感じます。